【全アスリートの処方箋】競技力向上のためのウエイトトレーニングの考え方レビュー
皆さんトレーニングでHOW(コツやテクニック)ばかり追いかけて、
Why(なぜ必要か?)をおろそかにしていませんか?
本書はあらゆる競技向上の為にウエイトトレーニングが
何故必要かについて「考え方」を書いた本になります。
- How to本を読んだのに強くなれない
- SNSのトレンドを追いかけがち
- 基礎以前に何かが足りない
上記の悩みを持った方にはかなり効果のある書籍だと思います。
ウエイトトレーニング関係なしに、
スポーツのロジカルシンキング本として最高の良書です。
文章はそこまで固くないから誰でも読めるよ。
How to本を読むための本と言っても過言じゃない!
「考え方」から入る理由を「考えよう」
練習とトレーニングの違いについて
- 練習の主目的:技術の向上
- トレーニングの主目的:体力の向上
本書を読むうえで先ずは上記大事なポイントになります。
あらゆるスポーツを行ううえで、
体力の向上(筋力)が必要だと感じる場面があると思います。
ただ、競技者が目的を忘れて
何となくウエイトトレーニングをしている場合もあるはずです。
そして、本書はプロ・アマ問わず目的を明確にすると言う点では
参考になる本だと思います。
ダイエットや健康管理でも、
目的を意識すると言う意味では参考になるよ!
本書ではトレーニングの用語分けを3つに分けています。
- ウエイトトレーニング
- レジスタンストレーニング
- 筋力トレーニング
ウエイトトレーニングは、ダンベル、バーベル器具と
己の自重を使って行う方法を指します。
(相互に関わり事もあり、厳密に分けられていると言う事ではありません。)
書籍のタイトルにもある通りウエイトトレーニングについて、
書いた書籍ですがあらゆるトレーニングや練習に応用できます。
Howだと勝つためのWhyが見つからない
冒頭でも書きましたがトレーニーがおちいる罠に、
How(コツやテクニック)ばかり求めてWhyが足りてない方は多いと思います。
本書はそのWhyについて、徹底的に解説しています。
本書を読んでいくと気づくのですが
テクニカルな話は全くでてきません。
それでも、本書の内容が深いのは何故でしょうか?
Whyを因数分解して書いてるからです。
必ずしも必要ないと言う認識の上求める
本書、個人的に本書刺さった言葉があります。
練習だけで勝てるならウエイト トレーニングをする必要はない。
河森 直紀. 競技力向上のためのウエイトトレーニングの考え方 (p.38). ナップ. Kindle 版.
初期のページで、
自身の書いてある言葉を全て全否定するような発言が飛び出してきます。
もちろん、ウエイトトレーニングを否定している言葉ではありません。
考え方なのです。
- 必要ない → 思考の無い考え方
- 必要ない場合もある → 思考するから「不必要」と言う選択肢も出てくる
可能性としてあらゆるパターンを想定した時に、
「必要なかった」も考えておくべきだと言う事ですね。
本書の文章は考えに考えて作られたことが、
伝わってくるフレーズが多々溢れています。
練習 だけでは 勝て ない から, 勝つ 確率 を 少し でも 高める ため に, 練習 だけでは でき ない こと を, 練習 から 一度 離れ て, 練習 とは 別に 実施 する のが トレーニング の 役割。
河森 直紀. 競技力向上のためのウエイトトレーニングの考え方 (p.42). ナップ. Kindle 版
本書のポイントを解説
漸進性負荷の原則
トレーニングの成長のおいてもっとも必要なのは、
漸進性負荷です。
練習と違い、トレーニングのメインは体力の向上。
漸進性負荷とは、
「体力を上げるために継続的にトレーニング負荷を上げていく」
と言うことになります。
過負荷の原則(身体が日常的に受ける刺激より少し上)をそこに加えて
どのようにトレーニングを捉えるか?
方法をロジカルに展開するとどんなパターンや管理がある?
本書を読むと色々見えてくるはずです。
漸進 性 過負荷 の 原則 本書 で 解説 する 3 つ の トレーニング の 原則 の 中 でも, 最も 重要 なのが「 漸進 性 過負荷 の 原則」 です 75)。 この 原則 を 理解 し, それ に 則っ て トレーニング を 進め て いけ ば, トレーニング の 主 目的 で ある 体力 向上 が 成功 する 確率 は 高まり ます。 逆 に,「 漸進 性 過負荷 の 原則」 を 無視 し て, 見た目 の 派手 さや 最新 の 流行 だけを 追い求め て トレーニング を 進め て しまう と, 求め て いる 効果( = 体力 向上) が 得 られる 確率 は 低く なっ て しまい ます。 もっと 極端 に いう と,「 漸進 性 過負荷 の 原則」 を 適用 する こと が でき ない よう な もの は, もはや トレーニング では ない と
河森 直紀. 競技力向上のためのウエイトトレーニングの考え方 (pp.139-140). ナップ. Kindle 版.
ウエイトトレーニングは怪我のリスクを減らす
意外と思われるかもしれませんが、
ウエイトトレーニングは怪我のリスクを減らします。
ウエイトトレーニング自体にも怪我のリスクは当然あります。
ただ、必要なWhyが分かって入れは、
各スポーツ技術練習における負荷のかかる関節のポイントが分かります。
(怪我リスクを減らす一例です)
そこを重点的にトレーニングを行う事で、
怪我のリスクを減らせると言えばイメージが付きやすいと思います。
もちろん適切なトレーニングを行った場合の話ですよ。
その Lauersen ら 41) の メタ 分析 の 結果 に よる と, ストレッチ・固有 受容器 トレーニング・ウエイト トレーニング を どれ も 実施 し なかっ た 場合 の ケガ の 発生 率 を「 1」 と し た 時 に, ストレッチ を 行っ た 場合 の ケガ 発生 率( relative risk: RR) は 0. 963, 固有 受容器 トレーニング を やっ た 場合 は RR = 0. 550, ウエイト トレーニング を やっ た 場合 は RR = 0. 315 と 報告 さ れ て い ます。 つまり, ストレッチ には ほとんど ケガ の 予防 効果 は なく, 固有 受容器 トレーニング は ケガ の 数 を 半分 弱 ほど 減らす 効果 が あり, ウエイト トレーニング は ケガ の 数 を 1/ 3 以下 にまで 減らす 効果 が み られ た という こと です。
河森 直紀. 競技力向上のためのウエイトトレーニングの考え方 (pp.66-67). ナップ. Kindle 版.
超回復理論とフィットネス-疲労理論
疲労の捉え方も2種類あり、
超回復理論とフィットネス-疲労理論で分けられます。
違いについては、
本書を読んで頂けると分かるのですが、
ローディーに多く活用されているのはフィットネス理論の方だと思います。
ポイントはテーパリングや年間を通して試合数が多い場合、
2つの理論がどのように影響するかだと思います。
本書では入力(トレーニング)された刺激が出力(競技力)として、
どのような要素絡んでいるかも面白いポイントです。
超回復理論とフィットネス-疲労理論については、
同じ著者で更に詳しく書いた書籍があります。
トレーニングの疲労管理に悩んでいる方は必見です。
こちらもかなりオススメの書籍になります。
マトメ
本書を読めば、
スポーツにおけるあらゆる局面で考える力が身に付きます。
そこを理解する事で、
あらゆるHow to本への考え方捉え方も深くなるはずです。
本記事では解説しきれていない内容が、
まだまだあります。
気になる方は是非、
読んで頂けると幸いです。